【要約まとめ】直島から瀬戸内国際芸術祭へ─美術が地域を変えた by福武總一郎さん、北川フラムさん〜瀬戸内国際芸術祭をもっと楽しむために読む本〜

福武總一郎さん、北川フラムさん共著「直島から瀬戸内国際芸術祭へ─美術が地域を変えた」

「直島から瀬戸内国際芸術祭へ─美術が地域を変えた」の要約を紹介します。

本書の著者は、瀬戸内国際芸術祭(以下、瀬戸芸) 総合プロデューサー福武ふくたけ 總一郎そういちろうさんと総合ディレクター北川 フラムさんです。2010年夏に瀬戸芸が初めて開催されるより以前から、直島を中心に、瀬戸内と現代アートを繋ぎ合わせる活動をされてきたお二人です。

本書が書かれたタイミングは、2016年の第3回目となる瀬戸芸が開催される直前。ここに至るまでには、想像を絶するような苦労や工夫があったことは、簡単に想像できます。

本書は、サラリとした口調で瀬戸芸の歴史がかかれてありますが、これらのエピソードを知ってから参加する瀬戸芸は、今までとは違った楽しみ方ができるようになりました。島を訪れ作品に触れると、背景にある想いが伝わってくるようになったのです。

では早速、福武總一郎さん、北川フラムさん共著「直島から瀬戸内国際芸術祭へ─美術が地域を変えた」についてお伝えします。

「直島から瀬戸内国際芸術祭へ─美術が地域を変えた」概要・目次

本書は、瀬戸芸の歴史を知るのに持ってこいの一冊です。なぜなら、瀬戸芸に最も深く関わってきたお二人が、それぞれの視点で瀬戸芸について語られているからです。

特に魅力的なことは、瀬戸芸の歴史について知ることができること。本書が書かれているのは、第3回目の開催直前のタイミングなのですが、ここに至るまでの経緯を知ることができます。

島々の黒歴史や地元島民との協力、作品に込められた想いなどを知ると、間違いなく瀬戸芸の楽しみ方が変わりますよ。

<直島から瀬戸内国際芸術祭へ─美術が地域を変えた 目次>

第1章 ベネッセアートサイト直島から瀬戸内国際芸術祭へ 福武總一郎
第2章 瀬戸内国際芸術祭の展開 北川フラム
第3章 瀬戸内物語 北川フラム
第4章 瀬戸内からアジアへ 北川フラム

歴史を知れば、もっと瀬戸内国際芸術祭を楽しめる

島にあった黒歴史

犬島には、犬島精錬所美術館という素晴らしい場所があります。個人的には、瀬戸芸3大美術館の一つだと思っています。元々は、犬島精錬所として、銅の精錬を行う目的で建設されました。しかし、1909年に建設されてから、わずか10年で操業停止となってしまった歴史があります。第1次世界大戦が終わり、銅の価格が下がってしまったからです。

また、大島にも黒歴史があります。大島は、ハンセン病患者を隔離するための施設があった場所です。今でこそハンセン病は超療法がありますが、当時はまだ隔離する以外に、感染を防ぐ方法はありませんでした。加えて、家族からハンセン病患者が生まれると、家族全員が感染を疑われてしまって、差別を受けることもあったようです。

このような歴史の背景を払拭するために、瀬戸芸が開催されているとお二人は言います。確かに島には、それを思い起こさせる作品が展示してありますが、アートという形を取っているので、非常に馴染みやすくなっています。

地元の人々との協力

瀬戸芸は、瀬戸内に浮かぶ島々が舞台となっています。そのため、まず浮かんだことは「瀬戸芸をやろうと言い始めたとき、絶対に地元住民から反対の声が上がるだろうな」ということです。今まで静かに暮らしていたところに、観光客が大量に流れ込んでくるわけです。島に住んでいる人からしたら、きっと迷惑だろうなと思いました。

しかし、実際のところは、地元の人々は、非常に協力的だったとのこと。反対の声が多かったのは、むしろ島の外に住んでいる人たちだったようです。地元の人々は、島が活性化することに喜びを感じているようで、たくさんの人と話す機会が生まれることも歓迎していたそうです。

確かに、瀬戸内の人々は、とにかく優しいのです。僕は、瀬戸芸へ行くたびに、地元の人に話しかけることが趣味なのですが、みなさん、とっても優しく対応してくれます。島の歴史や作品を作っている様子など、住んでいないと知らないことを教えてくれるので、すごく嬉しいです。

作品の解説

本書には、瀬戸芸に展示されている作品のことについても、たくさん触れられています。中でも、特に嬉しいポイントは、作品の写真が大量に掲載されていることです。

瀬戸芸で見ることができる作品の、半数以上は載っているのではないでしょうか。瀬戸芸へ行ったことがある人なら「あの作品だ!」と、行ったことがない人なら「こんな作品があるんだ」と、胸を踊らせること間違いありません。

加えて、作品についての解説がされていることが、更に嬉しいです。なぜこの場所にこの作品が展示されているのかを知ることで、作品のことを深く知れることが面白くてたまりません。

瀬戸内国際芸術祭は、メッセージ性のある祭典

本書を読むことで、瀬戸芸に込められた熱いメッセージを受け取ることができます。歴史を知ることで、今までと違った楽しみ方ができることは、間違いありません。

僕のように、何度も瀬戸芸へ足を運んでいる人にとっては、もっと瀬戸芸を好きになることができる一冊です。ぜひ、手にとってみてください。

この記事を書いた人

ぞの

こんにちは、"ぞの(@z02n05)"です。会社員をしながら、ブログ執筆やPoints of Youコーチング、タスクシュート個人セッションなどの活動をしています。当サイトでは、「人生ネタだらけ」をモットーに、リアルな体験談を記事にしています。仕事が忙しい方や人間関係に悩む方に、よく読んでいただいてます。